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2022/08/01 ダイナミーシルク

ダイナミーシルク⑥

ボビンの内側と外側の染色差をなくすため、今度は糸をボビンに巻く力を通常よりもゆるくしてみました。巻かれた糸の層の間にできるだけ均一のゆとりを持たせることで、精練した時にも均一の収縮性が得られ、均一に染色できると考えたからです。しかし、どうしてもボビンに触れる一番内側の部分が均一になりませんでした。

 

そしてついに、ボビンと直接触れない層を作ることを考え、ソフトで、しかも弾性糸の収縮を自然に補完する緩衝地帯を特殊な繊維で作り上げたのです。セシリンの脱却と同時に緩衝役を果たすその繊維は部分的に溶解していくもので、弾性糸の動きを抑えることもありませんでした。

 

また、精練剤も酵素を用いることで風合いと膨らみが保たれることも突き止め、これによってダイナミーシルクの横編み糸が完成しました。
これは同時に先染め糸の完成をも意味し、織物、ニット、先染めまで全ての素材に対応できるノウハウが揃ったのでした。

 

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2022/07/01 ダイナミーシルク

ダイナミーシルク⑤

~最後の試練~

最後まで問題となったのは横編み用の糸の完成でした。

横編み用の糸は糸の段階で精練してから編み立てます。初めは一般的な絹染色の方法として綛の状態で精練、染色しましたが、精練してセシリンが脱却したとき、弾性糸が一気に収縮してクリンプ状態に絡み合い、編み立てる状態になりませんでした。

 

横編み用の糸としてなんとか商品化したいと思い、持ち込んだのが西陣の絹糸染のスペシャリスト、にしき染色でした。

にしき染色では、糸の安定をはかるため、チーズ(大きめのボビンに糸を巻いた状態)で染めることで一定の安定を得られましたが、ボビンに近い内側と外側では染色差が生じ、精練した時に内側部分の糸の収縮が弱いことがわかりました。これは巻いた糸によって圧力がかかる内側ほど動きにくく収縮しにくいからでした。

 

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2022/06/01 ダイナミーシルク

ダイナミーシルク④

しかし、何度か試験を繰り返すうちに、生地を一気に高温で精練するのではなく、25度から1分間に1度ずつ温度を上げ、1時間かけて100度近くまでもっていくと安定することがわかったのです。

 

これで精練、染色段階の問題は解決しました。

 

ジャージーに関しては編み立て時の糸切れも課題となりました。原因は現在の高速編み立て機では急に圧力が加わるため絹と弾性糸のの張力差が生じてしまうためでした。これを解決してくれたのが小松市の福島ニット。昔からののニット機を保有して、絹にこだわりながら個性あるジャージーを生産する会社で、ゆっくりと糸を送り込むことで安定を得ることができたのです。

 

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2022/05/01 ダイナミーシルク

ダイナミーシルク③

~第二の試練~

織物やジャージーでは生地にするまでは問題なく進みましたが、その後の精練、染色段階で幅が安定しない、波打つ、編地が切れるなど問題が明らかになり、生地として販売できる状態にはなりませんでした。

 

製糸の段階ではセシリンを定着したまま引き上げており、それにより弾性糸の収縮が抑えられていました。しかし、生地にして一定の高温で精練することでセシリンが脱却して、弾性糸が本来の機能を回復して急速に収縮し、生地によって幅も表面も安定しないという問題が表面化したのです。ところが糸は国内と中国ですでに生産に入っており、あわせて20トン近い糸が滞留することになりました。

 

絹業界が製糸から織、編み、精練、染色、仕上げと分業で成り立っていたということが、原因究明を遅らせました。

 

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2022/04/01 ダイナミーシルク

ダイナミーシルク②

~第一の試練~

ダイナミーシルクの製糸を可能にしたのは富地研究所が保有しているコアヤーンの特許技術でした。これは絹を繭から引くときに、スパンデックス糸(弾性糸)を同時に操糸することで表面は絹が覆い、弾性糸が表に出ない伸縮性を持った糸を作る技術です。

 

最初にぶつかった問題は熱に弱い絹に合う弾性糸の選定でした。絹の染色加工条件に最も適合する弾性糸がオペロンテックスが独自に開発した天然繊維に合う弾性糸T178-Cでした。

 

しかし、弾性糸の伸長率の影響を考え、糸切れをしない工夫をする必要がありました。石西社に設備を入れて試験を繰り返し、装置に鏡を取り付けて糸切れを早く発見したり、引き上げ張力を減らすためには操糸速度を従来の半分以下に設定するのが最適であることを突き止め、本格的に糸生産が可能になりました。

 

機械を設備してから半年後には増産体制に入り、絹市場を変える糸として機屋やニッターも興味を示し、生地の開発、糸の開発を開始したのです。
石西社が製糸事業からの撤退予定であることやコスト削減の意図もあり、中国・山東省に設備を移転し中国での生産も開始しました。

 

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2022/03/01 ダイナミーシルク

ダイナミーシルク①

ダイナミーシルクは当社が2001年に開発した絹と弾性の合繊が新しい技術で結びついた複合糸の商標です。一部のアイテムに特化されてきた絹をデイリーなタウンウエアの素材として拡大することをテーマに5年の歳月をかけて開発されました。

ダイナミーシルクは糸の表面を絹が覆い、内側の伸縮性を担う弾性糸は表に出ません。
これまではシルクに対して、取り扱いが難しくデリケートな素材のイメージがありましたが、ダイナミーシルクは見た目や肌触りがシルクと同じでありながら伸縮性を持っているため、その用途は大きく広がり、シルクの可能性を示すことになりました。

 

ダイナミーシルクのプロジェクトは同興商事と東レ・デュポン(現 東レ・オペロンテックス株式会社)と製糸会社の石西社と富地研究所の4社が参加して1997年1月に発足しました。ダイナミーシルクが織物、ニット、先染めまで全ての素材に対応できるようになるまでには長い歳月がかかりましたが、それまでに何度も乗り越えるべき試練がありました。

 

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2022/02/01 シルクの利用

シルクの利用⑤

天然繊維の中で唯一の長繊維であるシルク。その特性である高級感や光沢感のため、多くの祭祀のための法衣やドレスなどに用いられてきた歴史があります。そうした『見せるシルク』から時代が進み、シルクの特性である肌ざわりや機能性が注目され、今度は私たちの生活に身近で実用的な『身につけるシルク』が注目されるようになり、衣料用の素材として活躍しするようになりました。今後はさらにシルクの特性を生かし、日常的に我々の生活で使用される化粧品、食品、医療分野への活用、そして身の回りを彩る多様な製品への活用など、シルクの可能性はこれからもますます広がっていくでしょう。

 

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2022/01/05 シルクの利用

シルクの利用④ ~資材としての利用~

○シルクの資材としての利用
靴下など衣料用として戦前までは日本からも大量に作られ輸出されていたシルクですが、世界を襲った大恐慌をきかっけとしたナイロンなどの新しい素材の出現により衣料用素材としてのニーズが激減します。
一方で、シルクは古来より美術品や工芸品など衣料用以外ものにも多く利用されてきました。日本でも絹本著色や絹本墨画など多くの絵画や水墨画のキャンバスとしても使われています。
こうした美術工芸品以外に、シルクの用途はさらに資材の分野へ広がっています。
丈夫で滑りが良いことから、戦争中はパラシュートの素材として多く使用されていました。現在では布団や真綿などの寝装用や壁紙などインテリアとしても多く利用されています。
シルクブランドで有名なジムトンプソンは、野蚕糸独特の太い糸が小物やインテリア製品を作るのにきれいな形が出ると評価し、タイらしいオリエンタルな雰囲気を残しながらデザインに西洋のセンスを取り入れた製品を多く生み出していて、鞄やポーチなどの小物からカーテンや椅子、クッションなどインテリア製品に至るまで、他社の製品と差別化された製品は大変人気があります。

 

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2021/12/01 シルクの利用

シルクの利用③ ~医療分野への利用~

○シルクの医療分野への利用

シルクは生体に使用しても安全性も高い 素材であると考えられているため、外科手術用の縫合糸としては古くから利用されています。

また、シルク水溶液を平たく広げて乾燥させたシルクフィルムは細胞培養の基材などに利用されていますし、シルクスポンジは軟骨組織再生基材として再生医療分野への応用も期待されています。
遺伝子組み換え技術が進み、さらに体になじむシルクができれば、さらに医療用品への利用が見込まれます。

現在はまだ高級な衣料素材というイメージが強いですが、これからもシルクは様々な研究がすすめられ、生活の中のもっと身近な場面で活用されるようになる日も近いでしょう。

 

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ウォッシャブル、撥水、防縮、樹脂、スエード、天日加工など様々な加工に対応しています
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2021/11/01 シルクの利用

シルクの利用② ~食品への利用~

○シルクの食品への利用

蚕はシルクを生み出すだけではなく昔から食用としても利用され、日本では今でも蚕のサナギを佃煮や甘露煮にして食べる地域もあります。蚕の餌である桑の葉が漢方薬として用いられているということもあり、それを食べた蚕の糞は、乾燥させて漢方薬としても用いられてきました。
蚕が生み出すシルクについても、その構造や成分が科学的に解明され、食べることで現代の病気、生活習慣病の予防に効果があることがわかってきました。
シルクを構成しているタンパク質、セリシンとフィブロインは、血中コレステロールの上昇を抑える性質があり、健康補助食品に使われたり、糖尿病患者の食事コントロールに用いられたりしています。

 

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